16日に全日本不動産協会でIT重説に関するセミナーがあったので受講してきました。
IT重説といっても不動産屋以外には馴染みがないと思います。
不動産の契約では、契約の前に重要な事項について「重要事項説明」というものが行われます。
不動産の取引は、あまり一般ではないことと高額なお金が動くので、事前に重要な事項について説明しておくことで、聞いてなかった、よく理解していなかった、ということを防ぎます。
この重要事項説明をITを駆使して行おうというのがIT重説になります。
IT重説の概要
重要事項説明というのは、宅地建物取引業法の35条に基づいて宅地建物取引士が行います。
この重要事項説明をテレビ会議、Web会議といったITを使って行います。
具体的には、不動産会社とお客さんがWeb会議等にログインして、対面で会話ができる状態にします。
お客さんに不明な点がある場合は、質疑応答ができる環境にしておく必要があります。
重要事項説明をITを利用して行うだけなので、対面式の重要事項説明と同等の説明が行える環境が求められます。
IT重説で遠方からの顧客も取り込めるか
日本は少子化が進み今後は益々働く人が減少していくといわれています。
現状でもふと出不足が深刻化している業種が多く、中小企業の中には後継者不足で廃業する企業も出ています。
不動産業界でも人手不足の企業もあり、とくに繁忙期はどこの不動産会社も猫の手も借りたいという状況になると思います。
IT重説を使うことで時間が効率に使えるようになるそうです。
重要事項説明をITで行うことでお客さんにとっても繁忙期の不動産屋にとっても時間を効率的に使えるようです。
IT重説は賃貸契約に限定
IT重説は、平成29年10月1日から開始されたまだ新しいシステムです。
まだ、新しいので対象取引も賃貸取引のみに限定されています。つまり、売買の場合は対象外となります。
通信がうまくいかなかったり、IT環境に不具合があったりとトラブルもあることから高額な取引の売買は対象外としているようです。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000046.html
実施マニュアル概要
国土交通省の「賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル」の策定には、IT重説の手順が記載されています。
IT重説において遵守すべきこと
- お客さんと重説を説明する宅地建物取引士が双方向でやりとりできるIT環境を整備すること
- 重要事項説明書等の書類を事前に送付すること
- 重要事項説明を開始する前にお客さんに重要事項説明書を準備してもらい、IT環境を確認すること
- 通常の重要事項説明と同様、宅地建物取引士が取引士証を提示し、お客さんに確認してもらうこと
- IT環境に不具合が生じた場合は、直ちに中断すること
IT重説で留意すべきこと
- IT重説をするにあたって借主、貸主等の関係者から書面で同意をもらうこと
- お客さんが希望した場合は、お客さんのIT環境を事前に確認すること
- 相手が契約当事者本人か代理人なのかを確認すること
- 必要に応じて内覧を勧めること
- 録音や撮影は、お互いの同意のうえで行うこと
- 不動産業者は関係者の個人情報を適切に管理することが求められます
導入に必要な物
IT重説の導入には、Webカメラといったカメラが必要です。
また、会話のやり取りのためのヘッドセット等のマイクが必要です。
他には、Web会議のためのIT環境が必要なのですが、ポータルサイトの場合は月額1万円以上します。
私が参加した不動産協会では、Skype for Business を推奨していました。
私は、Skype for Business の回し者ではありませんが、Skype for Business だと月額1カウントあたり540円で済むようです。
ポータルサイト以外も探してみましたが、安いところでも初期費用無料で月額9,000円くらいはかかるみたいです。
なので、導入するのであれば、Skype for Business にすると思います。他のシステム同様Webでの内見も可能のようですし。
Web会議導入でWebで内見も可能に
Web会議システムを利用してIT重説を行うのですが、Web会議を導入すれば相手とつながるのでWebで内見も可能のようです。
不動産屋がお客さんのかわりに物件に行き、カメラを使ってリアルタイムで実況したりお客さんの希望に合わせてカメラを移動させることも出来ます。
IT重説の機会がなかったとしても別のクラウドサービスを利用できるようになるので、次にパソコンを新しく購入するときに導入しようと思っています。
Webカメラに必要なもの
Webカメラには、お客さんとのやり取りが想定されているので、一定の機能が求められています。
お客さに向けて宅地建物取引士証を提示するので、宅地建物取引士証の内容を判別してもらう必要があることから高画質の物が求められます。
お客さんとの双方向の会話、質疑応答のために高音質であることも必要のようです。
さらに、お客さんと宅地建物取引士の双方が画面に表示される機能も必要のようです。
国土交通省の「賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル」
感想
話を一通り聞いてみましたが、IT重説のみが目的だと普及は限定的だと思います。
現在は、重説と契約をほとんど一緒に行っている不動産屋がほとんどなのと、古くからある不動産屋さんの中には、パソコンすらほとんど触ったことがない人も多いので、嫌がる人は多いと思います。
何よりも同意書や導入にあたって必要な手続きがいることを考えれば手間が増えただけで面倒くさがる人が多いと思います。
重要事項説明だけならそこまで時間がかからないですし、IT重説でもネットで実際に重説は行います。
通信が不安定であれば直ちに中止しなければいけないですしね。
IT重説だけなら、う~んとなりますが、Webでの内見や他のクラウドシステムを利用できるのであれば個人的には前向きに検討したいと思っています。