大学在籍時から不動産会社で働き、大学卒業後は別の不動産会社で住宅ローンの相談を受けていました。
不動産会社での住宅ローン相談を含めるとファイナンシャルプランナー(以下FP)の仕事が15年以上になりました。
お客様から相談を受けてライフプランやキャッシュフローを作ることがあるのですが、つくづく難しいと思うのが、世の中の変化が早すぎることです。
個人のライフプランは、税金や社会保障制度が変わると大きく影響を受けます。
税金や社会保障制度は、毎年のように改正されるので、ライフプランも変化に合わせて見直さないと対応できないこともあります。
ライフプランをもとにしたキャッシュフローは、現在の制度を基にして将来の収支を予測します。
キャッシュフローは、現在の制度をもとにしているので仮定も多いため、定期的な見直しをしなければ意味がありません。
変化に対応するためには、毎年ライフプランを見直してみるのがいいと思います。
年金制度も年金制度発足時は1人の高齢者を16人の現役世代が支えるといったものでした。
また、年金発足時の平均寿命は60歳代だったので、今の状況と大きく変わっています。
また、当時は少子高齢化を予想しておらず、平均寿命の延びと少子化が進んだことで、今では1人の高齢者の生活を3人の現役世代で支えています。
政府もまさかこのようになるとは思わなかったため、年金制度の維持のために膨大な負担を国民に背負わせています。
年金発足時 | 現在 | |
平均寿命 | 60歳代 | 男81歳 女87歳 |
高齢率 | 10%未満 | 26% |
年金制度だけではなく、健康保険制度も時代とともに変化しています。
昔は、介護保険なんてものはなく、病院の自己負担率も軽いものでした。
自分の好むと好まざるとにかかわらず、時代の変化を受け入れなければいけません。ライフプランを立てる人と立てない人とでは大きな差がつきます。
昔は、長寿といえばおめでたいことでしたが、最近では長生きすることがリスクととらえられているようです。
最近になって取り上げられるようになったものが、平均寿命が伸びたことで言われるようになった長生きリスク、グローバル化による物価の上昇リスク、終身雇用の崩壊による雇用の不安定リスク、といったリスクです。
FPは、ライフプランの専門家といわれていますが、現在建てたライフプランが数年後には役に立たないことを一番知っているのはFP自身です。
では、ライフプランを立てるのは意味がないかというとそうではありません。
会社における事業計画と同じで、ライフプランは定期的な見直しをすることで有効な手段となります。
税金や社会保障制度が変化するとはいっても、急に税金が2倍になったり、社会保険料が50%になるわけではありません。
変化に合わせて修正することで対応できることが多いということです。
また、世の中の制度は、対象者であっても申請しなければ利用できないものも多く、知識の有無が大きな格差を生むことも珍しくありません。
自分にとって有利な制度があったとしても、行政は申請主義を取っているので申請しなければ享受できません。
マイホームを購入する前にはライフプラン相談をしましょう
ほとんどの人にとっては、不動産は人生で一番高い買い物といわれています。
しかも、不動産の購入は、人生で一番高い買い物なのに特殊性が強く、そう何度も経験するものではありません(一度も経験しない人もたくさんいます)。
そのため、不動産の購入では、不動産の種類と不動産の特殊性を理解する必要があります。
また、不動産の購入ではローンを利用することがほとんどなので、ライフプランに基づいた資金計画を立ててみることが大切です。
人生がステップアップするように不動産もステップアップすることが多いです。
例を挙げると、まず、大学入学とともに賃貸アパートを借り、社会人として就職して家族ができれば職場に近いマンションを購入し、仕事が軌道に乗れば一戸建てを買うといったようにです。
最近では、高齢者が子供の独立後に自宅を売却して、その資金で介護施設に入居するといった例もあります。
世の中の環境に動じないためにも将来のライフスタイルを考えて計画し、実行することが大事です。
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