マイホームを購入する際、9割以上のケースで住宅ローンを利用して購入しています。
マイホームの購入では、不動産のことにばかり目がいくため、あまり住宅ローンのことを知らずに利用する人も多かったりします。
致し方ないことかもしれませんが、住宅ローンのことは不動産のことと同じくらい大事なことです。
マイホームを購入する際は、普通は住宅ローンが返済できない場合どうなるかなど考えません。
住宅ローンを返せなくなってから普通の人は今後どうなるかについて調べます。
本来であれば、マイホームを購入する前にローンのリスクを知って返済計画を立てるべきですが、いまさらそのことを言っても仕方ありません。
頑張っていても会社が倒産することはありますし、何かの事情でお金が必要になることだってありますから。
では、住宅ローンが返済できなくなった場合は、今後どうなるかについて少々お話ししたいと思います。
期限の利益
不動産の取引を行うとき、お金を借りるとき、その他にも契約を交わすときには、普段、聞きなれない言葉が出てきます。
不動産業者でも知っているようで知らない言葉に「期限の利益」があります。
期限の利益とは、借りたお金を期限までは返さなくていいことを言います。
法学部出身の人や法律関係のお仕事をされている人には馴染みがあるかもしれませんが、そうでない人は何のことか分かりません。
では、期限の利益について、ローンを例に説明してみようと思います。
まず、家を購入するために、お金を銀行から借りた人がいたとします。
家の購入のために2,000万円を借り、毎月5万円の返済を35年していくとします。
2,000万円を借りても、毎月の期日までに5万円を返済していれば、一括返済しないで35年の期間の利益を与えられることになります。
期限の利益があれば、毎月の返済をきちんと行っている限り、銀行はローンの返済を求めることは出来ません。
これが期限の利益です。
期限の利益の喪失
期限の利益の喪失とは、一定の事項に該当したために、期限の利益を喪失してしまうことです。
お金を借りるときの金銭消費貸借契約書で、どういった場合に期限の利益を喪失するかが記載されています。
民法でも期限の利益の喪失について規定があります。
しかし、民法は最低限のことしか書かれてないので、金融機関などでは特約が盛り込まれた契約書を使っています。
一般的な金銭消費貸借契約書では、以下のような場合に期限の利益を喪失するとしています。
・借主が返済を延滞し、金融機関が書面で督促しても次の返済日までに返済しなかった場合。
・借主が住所を変更したのに、借主が金融機関に届け出をしない等、借主が原因で金融機関が借主の住所を把握できない場合。
・借主が他の債務について期限の利益を喪失した場合。
・借主が支払いをしない場合。
・借主が手形交換所の取引停止になった場合。
・抵当権の対象について、差し押さえや競売手続きが開始された場合。
・申込内容に虚偽の記載があった場合。
・借主の信用状態に著しい変化が生じるなど、元利金の返済ができなくなる事由が生じた場合。
期限の利益の喪失に該当した事実があった場合は、金融機関は残りのローンについて一括返済を求めてきます。
ただ、1回返済が遅れた程度では一括返済が求められるようなことはなく、何カ月も返済をせず、連絡が取れない場合などに行われます。
金銭消費貸借契約では、金融機関のリスクは保証会社が負っています。
半年くらいすると金融機関の債権は、保証会社へ移っていることが多く、その後も連絡が取れなかったりした場合は、抵当権の実行手続きが行われます。
やがて裁判所に資料が公開されるので、不動産業者が尋ねてくるようになります。
最後には、競売の手続きを経て、落札した人に所有権が移ります。
重要なのは相談
何らかの事情があってローンの返済ができない場合は、恥ずかしがらずに金融機関に相談することが大切です。
今は、会社の倒産、リストラ、といったことが当たり前なので、金融機関も昔と違って柔軟に対応してくれます。
返済計画を見直してくれることもあります。
どうなるか分からないからと言って、連絡を取らず隠れるのは相手にも自分にもよくありません。
けがが大きくなる前に早めに連絡しておくことが大事です。