不動産の購入では、ローンを利用して手に入れるのが一般的です。
しかし、不動産の取引自体が減少しているのに、一向にローンで破産する人が減りません。
不動産の購入では、不動産と並んで検討が必要なのがローンに関することです。
それくらいローンに関することは大事な事なのですが、実際はローンを借りる際に専門家に相談した人は5%しかいないといわれています。
ほとんどの人は、不動産の購入で世話になった営業マンの紹介でローンを利用するのが一般的なので、失敗は必然なのかもしれません。
ローンは無理なく返済できる金額で借りる
住宅ローンを借りるときに知っておきたいのが、金融機関から借りられる金額と金融機関に返せる金額は違うということです。
金融機関はお金を貸すことが仕事ですが、むやみやたらと貸してくれるわけではなく、保証会社のOKが要ります。
なので、一般的には、年収の35%を基準に審査するケースが一般的です。
そして、金融機関の審査がOKだからといって、ローンの返済が無理なくできるとは限りません。
金融機関の審査と無理のないローンの返済とは別物だからです。
不動産探しで失敗しないためには、資金計画を最初に行うことです。
いきなり物件を見に行ってしまうと、自分がいくらの物件なら大丈夫か分からないため、営業マンに勧められるまま物件を決定してしまい、購入後も不安に駆られることになります。
営業の人との関係は、購入したら終わりですが、ローンは購入してからがスタートです。
将来も返済していけるのかをライフプランを立ててシミュレーションをしてみることが大切です。
老後破産が世間をにぎわせていますが、老後の次に破産するタイミングが子供の進学時期です。子供の進学資金とローンの返済で家計が破綻する可能性があるからです。
一般の不動産会社では、金融機関からいくら借りられるかを基準に不動産を紹介します。
ローンの審査が緩い金融機関を勝手に利用されることもあります。
資金相談をしても、変動金利のみで返済額を提示するため、実際にローン返済が始まると予想以上に負担が大きくなります。
いずれにせよ、金融機関から「借りられる金額」と「返済できる金額」は必ずしも等しくならないことを理解しておく必要があります。
資金計画の比較
分かりやすく実際の例を挙げてみます。
会社員のAさんは、4,500万円まで借りられるといわれ、4,400万円の物件の契約をしました。
いざ、契約の前になると、Aさんは返していけるのか不安になり、ライフプランを立ててみることにしました。
ライフプランを立ててみると、将来的に安心して返済していける金額は3,000万円程度ではないかとのことでした。
その差は1,500万円にもなりました。
今のように低金利時代でも1,500万円の差は大きな負担となって現れます。
仮に0.625%といった最低水準の金利でも4万円近くの差が出ます。
1,500万円の差は、資産価値の価値に直結しますが、資産価値が問題になるのは売却してからの話です。
その不動産を将来的に有効活用できればまた違うかもしれませんが、運用向きの物件は限られます。
老後破産を防ぐにはローンを利用する前が大事ということです。
競売で不動産を失ったら、借金はなくなるか、なくならないか
ローンが返せなくなり、競売で不動産を失った場合の借金はどうなると思いますか?
借金がどうなるかは、そのローンがリコースローンかノンリコースローンかによって違います。
リコースローン
リコースローンとは、遡及ローンのことをいいます。
日本の住宅ローンのほとんどは、このリコースローンになります。
リコースローンの場合は、住宅ローンが返済不能になり、競売等で処分されたとしても、残った借金について返済していく義務があります。
つまり、住宅を失っても借金は残ってしまうという踏んだり蹴ったりの状態です。
そのかわり借り入れ審査がノンリコースローンよりは緩めとなるのが一般的です。
ノンリコースローン
ノンリコースローンとは、非遡及ローンの住宅ローンです。
ノンリコースローンでは、担保不動産のみが返済財産となります。
不動産を競売などによって処分したら、その金額が借金に満たない場合でも、それ以外の資産には及ばないのがこのノンリコースです。
投資用のビルの場合に利用されることがあります。
アメリカでは、住宅ローンもノンリコースローンで利用されています。
外国ではノンリコースローンだからといって、日本がノンリコースローンとは限りません。
ノンリコースローンは、リコースローンと比べて貸し手のリスクが高いので、審査が厳しく、また、金利も高めに設定されるのが一般的です。