現在は、賃貸居住物件にエアコンが設置されているのは当たり前となりましたが、エアコンは必ずしも設置しなければいけないわけではありません。
賃貸人は、貸した建物を使用できる状態にする義務はありますが、エアコンの設置は義務ではありません。
ワンルームではエアコンが設置されているのが一般的ですが、ファミリータイプの賃貸物件ではエアコンが付いてないものも多かったりします。
借主が無断で建物に造作した場合の買取義務
借主がクーラーやアンテナを取り付けた場合に、退去のときに取り付けたクーラーやアンテナを買い取ってくれないかという請求をされる場合があります。
このような場合は、貸主がクーラーやアンテナの取り付けを許可したかどうかが問題となります。
貸主の許可を得ずに借主が無断で取り付けた場合は、貸主は借主の請求を拒否できるとされています。
反対に貸主がクーラーやアンテナの設置を許可した場合は、買い取ることが法律で定められております。ただし、特約で買取をせず、原状回復で引き渡すとの取り決めがあるような場合はこの買い取りを避けることができます。
もし仮に買い取る場合は、判例では中古ということを考慮した妥当な金額となる扱いです。
費用償還請求権の対象になるか
賃貸人は、建物を使用できるようにする義務がありますので、賃借人が部屋を普通に使っていたら備品が故障した場合は、賃借人を修理を請求することができます。
賃貸人が修理してくれなかったため、賃借人が自ら業者に修理してもらったときなどはかかった費用を賃貸人に請求することができます。
これを費用償還請求権といいますが、そもそも最初からクーラーやエアコンが設置されてませんので、この費用の対象になる可能性はないようです。
造作買取請求権
造作買取請求権というのが、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作がある場合に、賃借人は賃貸借契約の満了又は解約の申し入れによって終了する時に、賃貸人に対して造作した物を時価で買い取ることを請求できる権利です
なので、貸主の許可を得ずにクーラーやエアコンを無断で取り付けた場合は、造作買取請求権の対象にはならないことになります。
また、特約で造作買取請求権を排除することも可能です。
借主に一方的に不利な条項は認められない
アパートやマンションの賃貸借契約では、借地借家法という法律が適用されます。
貸主は、借主と比べたら強い力関係を持っています。
貸主のいうことを一方的に認めてしまうと大変なことになってしまうので、借地借家法で借主は保護されています。
1年未満の契約を定める、子供はうるさいから禁止、更新しない、といった取り決めは認められません。
アパートの賃貸契約での契約期間は、ほとんどが2年となっています。
定期借家といった期間が決められている契約もありますが、普通の契約だと原則2年です。
契約の満了が近づくと管理会社から更新のお知らせが通知されます。
エリアや大家さんによりますが、都内であれば契約の更新時に1か月分の更新料がかかることが一般的です。
アパートの火災保険も2年ごとの契約ですので、火災保険についても料金がかかります。
少額短期保険の損害保険期間の上限も2年と定められています。
もし、契約の更新をしない場合は、事前に引っ越すことを通知することになります。
通知の時期については、引っ越す1か月前から3か月前が一般的のようです。
急に引っ越す場合は、余分に家賃がかかってしまうことになります。
通知が何カ月前から必要なのかは、契約書に書いてあるはずですので、確認してみてください。
有効とされる条項もある
とはいえ、借主に不利であっても認められるものもあります。
例えば、ペット禁止や事務所禁止といったものは集合住宅の入居者の環境にも影響しますので、認められています。
全てが借主に有利とは限りません。
賃貸と売買
賃貸というのは、アパートやマンションの契約をして部屋を借りることです。
部屋を借りた方は、毎月家賃を支払います。
売買は、土地や建物を売ったり、買ったりすることです。
売買をすると、お金を支払う代わりに所有権を得たり、お金を得る代わりに所有権を失います。
所有権を得るということは、自分のものになるということです。ただし、所有権には一人だけが所有するものと共有(何人かで所有する)の場合があります。
土地の権利
土地の権利には、所有権と借地権があります。
所有権があれば、法律違反(爆弾を作るといったやってはいけないこと)でない限り、自由に使用したり、人に貸して収益を得たり、売却したりできます。
土地の賃貸が借地権というものになります。
借地権にも物権と債権がありますが、どちらも借りる代わりに賃料が発生します。
中には無償で土地を使用する使用貸借権もありますが、親子等の貸し借りがこれにあたります。
建物の権利
建物の権利には、所有権と借家権があります。
建物の所有権も土地と同じく、法令の範囲で自由に使用、収益、処分できますが、建物の場合はマンションのような区分所有権というものがあります。
借家権は、建物の賃借権で、学生さんがアパートを借りるといった場合はこのケースです。
この場合は、借地借家法という法律が適用されます。