子供の頃、六浦中学校の近くには塩場と呼ばれた個人商店が何件か集まった場所がありました。

塩場では、他のゲームセンターでは1回100円だったゲームが1回50円だったため、放課後になるとよく寄ってました。

また、当時は塩場には肉屋さんがあって、ハムカツやボテトフライをよく買い食いしてました。

 

今の金沢区の沿岸近くは、埋め立て地が多く、昔は海岸がもっと内陸にあったそうです。

 

塩場というのも、当時の名残を残した名前ということが分かります。

そういえば、塩場にはかつて製塩所があったという話を学校の授業で聞いたことがあります。

製塩は金沢の主要な産業の一つだった

六浦と鎌倉を結ぶ道は、六浦で作られた塩を商人が運んだことから、塩の道とも呼ばれたそうです。

 

「頼朝が幕府を開くと、鎌倉の人口は急増する。当然、生活に欠かせない塩の需要は高まり、金沢の製塩は地の利を生かして主要な産業となった。

金沢の入海に面した釜利谷、洲崎、町屋、六浦、野島など金沢のほとんどの村に塩焼場があり、金沢を描いた絵図には何度も登場する。六浦には「塩場」の地名が今も使われている。(ぶらり金沢散歩道 歴史・伝説・民話を歩く  楠山永雄著)」

 

塩の商人は、朝比奈切通しを通って鎌倉に塩を運んでいました。

 

昔は、朝比奈切通しの途中に地蔵があり、鎌倉での商売を祈願して地蔵に塩をお供えしたそうです。

そして、商人が鎌倉で商いを終えて帰る途中、塩をお供えした地蔵を見ると、塩が無くなっているので地蔵が塩をなめてしまうのではないかという話が伝わり、その地蔵は「塩なめ地蔵」と呼ばれるようになったそうです。

塩なめ地蔵は、その後、鎌倉市の十二所にある光触寺という寺院に移されました。

光触寺には、いまも塩嘗地蔵が安置されています。

 

鼻欠け地蔵

16号線の六浦交差点から原宿方面に進み、六浦―原宿線を進むと、大道中学校入口の横に看板があります。

 

今では面影がありませんが、この場所には当時、鼻欠け地蔵と呼ばれる磨崖仏があったそうです。

 

鼻欠け地蔵は、その名の通り鼻が欠けていたことから呼ばれました。

鼻欠け地蔵は、鎌倉と六浦を結ぶ道の途中にあり、六浦湊から朝比奈切通しを通って鎌倉へ向かう人々が、旅の安全を祈願して手を合わせたそうです。

 

明治以前の朝比奈は、相模鎌倉郡に属し、峠村とも呼ばれていたそうです。

昔は10数世帯しかなかった朝比奈村は、高度経済期に新興住宅地として、東京へのベッドタウンとして多くの人が住むようになりました。

鼻欠け地蔵がある辺りは、相模の国と武蔵の国の境だったため、界地蔵とも呼ばれたそうです。

ちなみに現在の横浜市の大半は、武蔵の国になります。

 

今は長い間に風化してしまい、白山堂奥摩崖仏と同様、看板がなければ誰も地蔵があったとは思わないでしょう。

左下の出っ張ったあたりが、お地蔵様のようです。

 

鼻欠地蔵の横の坂を進んで行くと、白山道という道があります。

白山道も鎌倉時代からあったといわれる切通しです。

 

 

朝夷奈切通(朝比奈切通)は塩を運ぶ道だった

鼻欠地蔵から「原宿六浦線」を原宿方面に歩いて行くと、やがて左手に朝比奈(朝夷奈)切通し入口が見えてきます。

朝比奈切通しは、鎌倉時代に鎌倉と金沢をつなぐ通り道で、鎌倉へと続く七口の切通しの一つになります。

また、朝比奈切通しは、鎌倉七口の中でも当時の面影を一番残しているといわれ、人気のハイキングコースの一つになっています。

 

朝比奈切通しを通って、金沢から鎌倉に向かってみました。

原宿六浦線沿いにある「朝夷奈切通入口」の表示案内から、数十メートル進むと写真のような物が見えてきます。

朝比奈切通しは、国の指定史跡になっています。

 

その横が入口なので、進んでいきます。

これは入って直ぐの所です。石仏や庚申塔があります。

 

朝比奈切通しは、山を切り開いてできたといわれ、面影を見ることができます。

 

朝比奈切通しは、攻めにくく守りやすいといわれたそうです。

 

朝比奈側の道は歩きやすいです。

 

アクセスが悪い場所なので、鎌倉七口でも穴場です。

 

7,8分進むと分かれ道があります。左へ行くと熊野神社があり、真っすぐ進むと鎌倉への道です。

鎌倉からは、横浜方面は鬼門にあたったため、源頼朝が指示して紀州の熊野神社を勧請したそうです。

 

看板の横を進むと熊野神社に着きます。

 

熊野神社入口

 

 

南無阿弥陀仏と刻まれています。

 

山頂付近には、摩崖仏のようなものがあります。

 

一番高いところのあたりです。

 

鎌倉側の出口が近づくと足元が悪くなります。

 

下りは足元がぬかるんでます。結構滑ります。

 

かなり滑るので、慎重に進みます。この時点で靴は泥だらけです。

 

朝比奈切通しには、脇道が多くあります。途中の脇道を少しだけ進んでみましたが、長く続いてそうだったのですぐ戻りました。

 

後日、時間があるときに挑戦してみたら、富士山が見える道に出ました。

 

出口が見えてきました。

この先を右に曲がると、住宅が並んでおり、さらに進むと県道金沢鎌倉線に出ます。

県道金沢鎌倉線に出て、左に行けば1時間20分くらいで鎌倉八幡宮に行けます。