不動産の賃貸借契約は、普通は2年の契約です。

そして、2年ごとに更新するといったことが一般的に行われています。

 

では、更新した場合の連帯保証人としての地位はどうなるのかといった疑問がでてきます。

そこで、判例を調べてみると似たような事例が結構あることが分かりました。

 

判例について調べてみました。

判例というのは、過去の裁判例です。判例は必ずしも拘束力を持つわけではありませんが、判断基準を示しています。

賃貸借契約の更新における連帯保証人の地位についての判例

 Yは、昭和60年5月31日にXの実弟であるAに兵庫県内のマンションを賃貸した。賃貸借契約においては、期間が同年6月から2年間、賃料が月額26万円と定められた。その際、XはYに対し、Aが賃貸借契約に基づいて負担するすべての債務について連帯して保証することとなった。

 YとAとの間の賃貸借契約においては、期間の定めに加えて「但し、必要あれば当事者合議の上、本契約を更新することも出来る」と規定されていた。Yは、賃貸借期間を家賃の更新期間と考えており、期間満了後も賃貸借関係を続けられることを予定していた。また、Xのほうは、保証契約締結当時にAが食品流通関係の仕事をしていて高額の収入があると認識していたことから、Aの支払い能力は心配していなかった。

 AとYとの間の賃貸借契約は、3回にわたり更新された。すなわち、まず昭和62年6月ころ、期間を同年6月から2年間と定めて更新する旨が合意され、ついで平成元年8月に、期間を同年6月から2年間、賃料を月額31万円と定めて更新する旨が合意され、そして平成3年7月に、期間を同年6月から2年間、賃料を月額33万円と定めて更新する旨が合意された。

 各回の更新の際に作成された契約書の連帯保証人欄には「前回に同じ」と記載されているにとどまり、Xによる署名押印がされていない。また、各更新の際にYからXに対してAの保証を続ける意思を確認する問い合わせがなされたことはなく、XがAに対して引き続き連帯保証人となることを明示して了承したこともなかった。

 Aは、2回目の合意更新による期間中の賃料のうちの75万円と3回目の合意更新による期間中の賃料など759万円を支払わなかった。Yは、平成4年の7月中旬ころ、Aに対し賃貸借契約の更新を拒絶する旨を通知すると共に、平成5年6月に賃料不払いが続いている旨をXに連絡した。Aは、同月Yに対しマンションを明け渡した。

 このような経過の後、XがYに対して保証人としての責任がないことを主張したのがこの事件の概要である。

 

そして、判決理由が以下のようになってます。

連帯保証人の更新についての判決理由

建物の賃貸借は、一時使用のための賃貸借等の場合を除き、期間の定めの有無に関わらず、本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係であり、期間の定めのある建物の賃貸借においても、賃貸人は自ら建物を使用する必要があるなどの正当事由を具備しなければ、更新を拒絶することができず、賃借人が望む限り、更新により賃貸借関係を継続するのが通常であって、賃借人のために保証人となろうとする者にとっても、右のような賃貸借関係の継続は当然予測できるところであり、また保証における主たる債務が定期的かつ金額の確定した賃料債務を中心とするものであって、保証人が予期しないような保証責任が一挙に発生するようなことはない。

 期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである。

判例上の結論

契約更新した後も保証人としての立場は続くため、保証人の責任は免れることはできない

株式会社の連帯保証人になるのは代表者

連帯保証人だと「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」がありませんので、私自身、連帯保証人にはならないようにしています。

ところが、会社が金融機関や、ある協会に加入する際に、取締役である自分が会社の連帯保証人とさせられることがあります。

会社の連帯保証人になるのは、普通は代表者です。

 

法律上は、法人と個人は別人格ですので、それぞれが権利義務の主体になるはずです。

そのため、法人の資産・負債と個人の資産・負債とは分けられることになります。

 

そして、会社と個人が別人格であるので、もし、会社が倒産した場合であっても会社の取り締まりである個人は会社の負債について責任を負わないことになります。

でも、実際には会社の代表者は、会社の連帯保証人になることがほとんどです。